活動紹介Activity

ここでは、本センターの前身である「神戸大学3Dスマートものづくり研究センター」の今までの活動について紹介を行います。

1. 主な取り組み

3Dスマートものづくり研究センターは、2015年6月に発足し、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に採択された神戸大学教員がリーダーを務める3プロジェクト(内1プロジェクトはH28年度で終了)による研究開発・アウトリーチ拠点として研究活動を実施してきました。この実施内容と体制を以下の(1)から(3)に示します。
ここで、まず(1)はシステム・設計・生産を包括的に、(2)はスパコンを活用した設計、(3)は知能機械を活用した生産を中心にそれぞれ出口志向の研究開発を進め、産学官の連携を強力に推し進めてきました。

(1)システム・設計・生産分野:SIPプロジェクト「リアクティブ3Dプリンタによるテーラーメイドラバー製品の設計生産と社会経済的な価値共創に関する研究開発」

実施内容

3Dプリンタによるテーラーメイド化が困難であったラバー製品について、地域産業であるシューズを取り上げ、多様なユーザとのIoV (Internet of Values)環境を構築してインタラクティブな価値流通に基づく超デライト設計・生産システムを開発するとともに、熱可塑成形と架橋のトレードオフを解決し、リアクティブ3Dプリンタマシンとその素材を研究開発します。

システム・設計・生産分野プロジェクトのパンフレット

システム・設計・生産分野プロジェクトのパンフレット

システム・設計・生産分野プロジェクトのパンフレット

(2)設計分野:SIPプロジェクト「全体俯瞰設計と製品設計の着想を支援するワークスペースの研究開発」

実施内容

製品設計の超上流で活用するこれまでにない設計ツールを開発し、新規性の高い小型風車開発や地域産業(焼酎製造)を対象として、本提案の実証・展開を行います。

(3)生産分野:SIPプロジェクト「CAM-CNC統合による革新的な工作機械の知能化と機械加工技術の高度化」

実施内容

機械加工技術の高度化を目的に、機械加工を加工用プログラム(NCプログラム)で指令する方式から、加工中に工具位置や工具姿勢を計算して逐次指令する方式に転換して革新的な工作機械の知能化技術を開発します。

2. 主たる成果

3Dスマートものづくり研究センター活動に関連する主たる成果を以下に示します。

論文・特許

  • 論文数:57件
  • 学会発表:132件
  • 特許情報:特許出願 26件、意匠登録 3件

アウトリーチ活動(招待講演や各種メディア等)

  • 招待講演:35件
  • 新聞・メディア:19件
  • その他:5件
  • 3Dセンターシンポジウム(年1回実施)
    2015年度 参加者 110名
    2016年度 参加者 108名
    2017年度 参加者 77名
    2018年度 参加者 94名
    2019年度 参加者 98名

参考:2015年度のセンターシンポジウム案内ビラ参考:2015年度のセンターシンポジウム案内ビラ

受賞

  • 受賞数:26件
  • 主な受賞内容:
    - 兵庫県科学賞、平成29年11月
    - 文部科学大臣表彰若手研究者賞、平成30年4月
    - 日本経営工学経営システム賞、平成30年5月
    - 第42回井植文化賞(科学技術部門)、平成30年10月
    - 日本機械学会賞(論文)、平成31年3月

立ち上げたベンチャー企業

  • 大学発ベンチャー「BESTOWS株式会社」(機械加工用アプリケーションソフトウェアの開発・販売)

3. 今後の展開

3Dスマートものづくり研究センターでは、上述の様な様々な成果を残してきました。そして、2020年4月より価値創造スマートものづくり研究センターへと名称変更を行い、活動の範囲をさらに拡充することとなりました。
3Dスマートものづくり研究センターは、3Dスマートものづくり研究センタードイツのインダストリー4.0に象徴されるIoTを活用した新たなものづくりについて研究を展開してきました。そこでは、設計・生産・サプライチェーンなどエンジニアリングチェーン全般に渡るデジタライゼーションの追求を行い、スパコンを活用したデジタル設計や工作機械の知能化、新しい3Dプリンタの開発、デジテルツインと分散人工知能によるスマートファクトリ、製造業のサービス化の在り方など、さまざまな研究開発と情報発信を行ってきました。

一方、この5年の間に、ものづくりを取り巻く環境は少しずつ変化をしており、日本政府も超スマート社会(Society 5.0)という新たなコンセプトを提唱し、その実現にむけ、AIやIoT、ビッグデータなどを活用するさまざまな研究開発の取り組みが求められるようになってきました。その具体化には、シーズ指向の技術的側面とニーズ指向の社会的側面の双方に対しバランス良く考慮する必要があり、さらにSDGsに代表される持続可能性への検討も重要な要素となります。その際、真に豊かな未来社会の構築には、社会を構成するさまざまなステークホルダーに対する価値提供が求められ、今まで以上に、文理融合型の取り組みによる新たな研究が必要となります。このような状況を鑑み、価値創造スマートものづくり研究センターと改称することで、総合大学としての神戸大学の強みを活かした文理融合型研究の実践により、価値創造を実現するスマートものづくりに関する国際的な研究拠点の実現を目指して行く予定です。価値創造スマートものづくり研究センターでは、従来の3Dスマートものづくり研究センターにおける活動実績をベースとして、今後も新たな大型外部資金獲得や特許取得、新規事業化、地域産業技術力向上支援などを通じた国内外の最先端研究開発拠点としての基盤体制作りを進めていく予定です。これらの具体的な内容を以下に示します。

1) 大型外部資金の獲得
2) 特許取得と事業化への取り組み
3) 地域産業技術力向上支援